Vol.12 〜2025AWコレクション〜
自分らしさを更新できる、自由なアティチュード
まだまだ酷暑の続く日々ですが、MiMCでは秋冬に向けた新色が発売になりました。2025AWコレクションのテーマは"Trans Harmonity"。変わり続ける毎日を、ポジティブに切り開く。やさしさと強さ、一見両極のような存在を内包しながら、自分らしさを描いていく。そんな想いがこめられたアイテムです。
きっと皆さんも感じていると思いますが、ここ数年で社会における様々な価値観が大きく変化しています。ジェンダー、年齢、文化.......あらゆる「境界」を超えてダイバーシティを認め合える社会に向かうべく、法制度や教育、発信の仕方も変容を遂げています。
私たちも同様に、ビューティーの世界を通じてどんなメッセージを届けたいのか常々考えているなかで、毎シーズンのコレクションテーマを決めるにあたっては、ビューティーディレクターのMICHIRUさんと一緒に、伝えたい想いをじっくりと話し、それをどう製品やクリエイティブにアウトプットするか方向性を決めていきます。
変化を楽しみ、ときに違和感や対になることをも調和して、自分のアイデンティティを形作っていく。
そんな想いを体現したアイテムが今回のコレクションです。洗練されたやさしさを宿すウォームピンク&鮮やかさの中に温もりを秘めたスパイシーオレンジのアイシャドーパレット、品のある深みブラウンが際立つアイライナー、ヘルシーな血色感を作る万能ピンクのスティックチーク、透明感とツヤを纏うリキッドルージュのラインナップです。
前進する勇気が欲しいときには、しっかりラインを引いて強さを宿し、優しさを備えたいときにはウォームトーンのアイシャドーでふんわりと。
優しさと強さは一見対峙するようですが、実は誰しもがどちらも持ち合わせていて、その日その時の気分やなりたい姿にあわせてバランスをとっていくことがこれからの時代には必要。コレクションビジュアルでも今シーズンは、同じアイテムを使って2パターンのメイクを提案しています(ミネラルリキッドルージュは2色登場するのでそれぞれ異なる色を塗っています)。左のメイクは、ミネラルスマッジアイライナーを太めに目の周りを囲うようにいれることでスパイシーさを、右のメイクは色と質感を楽しめる、抜け感のあるナチュラルな仕上がりに。
発売に先立って開催した新製品発表会でも、美容ジャーナリストの方々からはビオモイスチュアシャドーについて「失敗しない2色!」とコメントをいただきましたが、まさにその通りで、赤みブラウン、黄みブラウン、カーキ系などどんな締め色とも相性の良い配色になっています。たとえばご自身の持っているブラウンのアイシャドウと合わせたり単色で使ったりと、活用の幅の広さも含めてメイクを自由に楽しんでもらえるのではと思っています。
強さのなかにひそむ温もり、光を宿したアイライナーができるまで
製品開発には常に生みの苦しみがつきものですが、今回のコレクションで特に苦労したのは、”スマッジアイライナー”です。優しいタッチでするするとなめらかに描けるペンシルタイプのアイライナー。芯が長方形なので、ラインのように細い線も、アイシャドウのように太く描いてぼかすことも可能です。新色ディープブラウンは、深みをもたせつつも上品な目もとを演出するため、ブラウンの中に赤いパールを仕込んでいます。
苦戦したのは、この赤いパールのきらめきを際立たせること。素材の状態ではキラキラと美しいミネラルパウダーですが、芯形状をしたペンシルに仕込むと、とたんに光を失いマットな質感に。パールのきらめきがないと、シックなブラウンと共存する赤の上品な印象が表現できないため、何度も試作を重ねました。
そもそも、ミネラルで彩度の高い赤色を作り出すということは至難の技です。皆さんが”赤”と聞いて想像する赤というのは、おそらく絵の具でみるようなパキッとした赤だと思います。でも自然界に存在する”赤”って、宝石のルビーのような色なのです。深みがあり、想像する赤よりも土の色に近いものです。
少し話が逸れますが、よく”トマトを使ってビビッドな赤を作ることはできないんですか?”と言われたりすることがあります。ですが実はトマトは抽出すると透明の液体です。苺やスイカも、薄いピンクが出るかどうかでほぼ透明。MiMCの製品でも、ルージュやグロスではパプリカ色素を活用することもありますが、今回のようなブラウンの芯形状にパールとして赤を煌めかせるには、宝石(ミネラル)のもつ強い輝き以外には選択肢はありませんでした。これまでの経験や感覚から、最適な配合バランスを探すために微差のような比率の掛け合わせを何通りも繰り返し、理想の色へと導くことができました。
当然ですが、使う素材へのこだわりは色だけではなく、デリケートで皮膚の薄いパーツに使うものだからこそ、目もとにやさしい植物成分を配合しスキンケア機能も追求しています。頼もしい発色と心地よい使用感の融合もぜひ感じていただけたら嬉しいです。
メイクを通して、自由な表現を思いのままに
価値観や感性が多様化する中で、あえて対立や違和も内包しながら“新しい美しい調和”を見つけていくことが、新時代をしなやかに生きていくために必要なひとつのバランス感覚。昔から日本人は、この”バランス”を中庸という言葉で表現し大切にしてきましたが、概念としては理解していても、それを行動や表現することは難しかったように思います。どんな個性も否定しない多様な選択肢をもつメイクアイテムを手に取り、自由なメイクを楽しむことから、自分を大切にする一歩を踏み出してもらえたら良いなと思っています。秋はメイクが楽しい季節。たくさんの方に楽しんでいただけますように!
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